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肥満とは:肥満とは体の中に脂肪が過剰に蓄積した状態を言います。肥満かどうかは体重の重さではなく、体内にしめる脂肪の割合で決まるのです。脂肪組織が占める割合を体脂肪率と言いますが、この体脂肪率が男性では25%以上、女性では30%以上を肥満と言います。
肥満は悪いことか:1983年のフラミンガム研究(有名な大規模疫学調査)で、肥満そのものが冠状動脈硬化症や心不全、脳卒中の危険因子となっていることが証明されています。さらに肥満には、糖尿病、高脂血症、高血圧症、高尿酸血症などが合併しやすいために動脈硬化症の危険因子が多数重なりあい、狭心症・心筋梗塞・脳梗塞などになる確率が高まります。
肥満の判定:肥満の判定には、体脂肪の測定が必要となりますが、現時点では正確、簡便かつ経済的な体脂肪測定法がありませんので、便宜的に標準体重に対する過剰体重の百分比(%)を肥満度として考える方法が使われています。
標準体重の決め方:標準体重の決め方には色々な方法がありますが、一般的には体格指数BMI:body mass index=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m))が使われます。肥満と疾病罹患率(病気にかかり易さ)に関する調査によると、BMIが22の時が肥満に伴う合併症(生活習慣病)が最も少ないことから、「身長(m)×身長(m)×22」で計算される体重が標準体重とされました。 
BMIによる肥満の判定:これまでは、この標準体重を20%以上越える場合(BMIが26.4以上)を肥満と判定しておりましたが、日本での多くの臨床データーから、BMIが25を越えると生活習慣病にかかるリスクがBMI22の2倍になることがわかり、昨年の日本肥満学会で、BMI25以上を肥満とする新しい判定基準に変更されました。例えば身長が160cmの人で64kg以上が肥満となります → BMIと肥満率
肥満の分類
  • 体脂肪の分布の差による分類T
    • 上半身肥満:主として腹部から上に脂肪がつくタイプで、W(ウエスト)/H(ヒップ)が0.8以上
    • 下半身肥満:主として腹部から下に脂肪がつくタイプで、W(ウエスト)/H(ヒップ)が0.8未満
  • 体脂肪の分布の差による分類U
    • 皮下脂肪型肥満:主として腹壁の皮下に脂肪が付くタイプ
    • 内臓脂肪型肥満:主として腹部内臓の周囲に脂肪が付くタイプ
  • 肥満の成因による分類
    • 本態性肥満:単純性肥満
    • 症候性肥満
      • 内分泌性:クッシング症候群、甲状腺機能低下症など
      • 視床下部性:フローリッヒ症候群
      • 遺伝性:ローレンスムーンビードル症候群など
      • 薬剤性:ステロイド剤、経口避妊薬など
肥満のタイプと合併症:肥満のタイプにより合併症の頻度が違い、上半身肥満では下半身肥満よりも合併症を伴いやすいこと、さらに上半身肥満では、皮下脂肪型肥満よりも内臓脂肪型肥満に高血圧・糖尿病・虚血性心疾患が多く見られることがわかってきました。
肥満と肥満症:肥満と判断された場合、糖尿病、高血圧、高脂血症、高尿酸血症、脂肪肝など合併症の検査を行い、いずれかがあれば肥満症と診断します。ただし、肥満度が70%(BMIが37.4)以上であれば合併症がなくても肥満症と診断します。各疾患の診断については、それぞれのページに詳しい解説がありますが、ごくごく簡単な基準は以下のようになります。
  • 糖尿病:多尿、多飲、体重減少などの糖尿病症状かつ随時血糖値≧200mg/dl、または、空腹時血漿血糖値(FPG)≧126mg/dl(絶食時間は最低8時間)、または、75gOGTTの2時間血漿血糖値≧200mg/dl
  • 高血圧:収縮期圧≧140、または/および、拡張期圧≧90
  • 高脂血症:LDLコレステロール≧140(総コレステロール≧220)、または/および、中性脂肪≧150
  • 痛風・高尿酸血症:尿酸値≧8.0
  • 脂肪肝:GOT、GPT高値、および、腹部超音波検査で脂肪肝の所見