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このページの作成には、NOVARTISさんのニコチネルTTS禁煙指導用キットの図を使用致しました。図をクリックすると大きな画像が表示されます。
タバコの煙には、タバコを吸って口腔内に達する「主流煙」と、それを吐き出した「呼出煙」、さらに火のついた所から立ち上る「副流煙」の3種類があります。煙の中には4000種類の化学物質が含まれ、そのうち200種類以上は有害物質です。主な物質とその量は下記の通りです。注目したいのは、主流煙よりも副流煙の方が有害物質を多く含んでいるという点です。
非喫煙者を1とした時と比べて、喫煙者がどのような疾患で何倍死亡しやすいかについてのデーターです。喉頭癌が最も多く32.5倍、肺ガンがその次で4.5倍、そのほか肝臓癌 3.1倍、口腔・咽頭癌 3.0倍、食道癌 2.2倍、肺気腫 2.2倍、胃潰瘍 1.9倍、クモ膜下出血 1.8倍、虚血性心疾患 1.7倍、膀胱癌、膵臓癌、子宮癌が1.6倍、胃ガン 1.4倍となっております。
たばこの煙は周りの人にも大きな影響をもたらします。家族に喫煙者がいると3歳の幼児の喘息様気管支炎の確率が多くなります。誰もいないときには、100人中1.7人なのに対して、家族の誰かがたばこを吸うと3人に増え、母親がすう場合には、なんと4.9人と約3倍にもなってしまいます。また、夫が1日に20本以上のたばこを吸うと、妻が肺癌で死亡する確率が約2倍となります。
喫煙者の肺がどのような状態になっているか見てみましょう。肺表面の変化としては、たばこを吸うほどススやタールが沈着し、黒くなっていきます。肺割面の変化はもっと深刻で、ガス交換を行っている肺の組織は破壊され、正常な細胞がどんどん失われていきます。そのため正常なガス交換が行えなくなります。
次に、1日の喫煙本数と病気との関係を見てみると、1日に20本吸う方は吸わない人に比べて肺癌で亡くなる可能性が約5倍、50本吸う方の場合にはなんと15倍も高くなります。また、狭心症や心筋梗塞で亡くなる可能性は、20本吸う方で約2倍、50本では約3倍となります。
さらに、一日の喫煙本数と持続性の咳・痰などの慢性気管支炎様症状の関係を調べると、一日の喫煙本数が多いほど年齢の増加に伴って症状を持っている割合が高くなります。また、消化性潰瘍治癒後の再発率を調べたデーターでは、喫煙ありの方が潰瘍の再発率が有意に高くなっており、喫煙の影響が呼吸器系以外にも現れることがわかります。
この様にたばこの健康に与える影響は大変なものがありますが、禁煙をしてたばこを吸わなくなると、その日から肺癌や虚血性心疾患(心筋梗塞)で死亡する危険率が徐々に低下していきます。例えば、毎日喫煙している人の肺癌で死亡する危険率は、4.5倍ですが禁煙して4年位すると2倍、10年以上経過すると1.4倍に低下します。