土川内科小児科ニュース  7月号  No.6 もどる

  今月のテーマ:食中毒

 今年も食中毒の多い季節となりました。そこで、今回は昨年来世間を震撼させているO157を中心とした食中毒を取り上げてみます。食中毒のほとんどは細菌が原因でおこる細菌性食中毒で、原因菌としては、腸炎ビブリオ(約半数をしめます)、ぶどう球菌、サルモネラなどがあげられます。話題の病原性大腸菌による食中毒はこれまでは年間20〜30件程度でしたが、昨年のO157による患者は9451名(うち死者12名)で、今年も流行の兆しを見せています。  O157も食べ物を介して体内に入る点はほかの原因菌と同じですが、ほかの病原体にはないいくつかの特徴があります。@感染力が非常に強い。たった5個の菌から感染した例も報告されています。Aベロ毒素という強い毒素を出す。このため溶血性尿毒症症候群(以下HUSと略します)をおこし、死亡することもあります。B潜伏期間が長い。だいたい3〜9日、平均5日といわれています。O157に感染しても健康な大人はあまり重症化しませんが、子供やお年寄りが感染すると重症化しやすい傾向があります。そこで、初期に現れる症状をよく理解し、あやしいと思ったら早めに手当を受けるようにすることが大切です。O157に感染すると無症状の潜伏期(3〜9日)を経て、まず下痢と腹痛が現れます。ふつう発熱はなく、でてもあまり高くありません。吐き気はないかあってもわずかです。ここまではふつうの食中毒となんら変わりありませんが、三日め頃から激しい腹痛とともに下痢も一日十回を越えるようになり、血便(下痢便の中に血液が混じる状態)がみられるようになります。この時の血便は血液そのものとか赤ワインの様な感じといわれています。この血便はベロ毒素によって大腸粘膜が障害を受けて引き起こされる出血性大腸炎の症状で、O157に感染した人の3割〜6割にみられます。この状態になってもほとんどの場合は治療により軽快しますが、5%ぐらいの人は、HUSと呼ばれる非常に危険な状態へと進行してしまいます。HUSは出血性大腸炎の時に腸の中で放出されたベロ毒素が、吸収されて血液中に入り血管の内側を傷つけることにより引き起こされます。ここまで進んでしまうと救命するのがかなり難しくなりますので、O157感染症でもっとも大切なことは、重篤な状態になる前に適切な治療を受けることです。ひどい下痢や出血を伴う下痢の時は、早めに医療機関を受診してください。受診する際、、便を持参してください。この時、便の取り扱いに注意してください。具体的には、赤ちゃんならおむつをそのまま。トイレでとる場合も、すべてビニール袋に入れて処理し、さわった場所はすべて消毒し、手洗いも石鹸を用い、流水で念入りに行ってください。治療について、簡単に触れておきます。激しい腹痛や血便のみられる下痢ではむやみに下痢止めを使わないことが大切です。下痢を止めてしまうと、腸内で増えた病原菌も排泄されなくなります。また、毒素を産生するタイプのものでは毒素が排泄されないため、より多くの毒素が吸収され、症状を重くしてしまう危険があります。もう一つ大切なことは、下痢で失われた水分を十分に補給してあげることです。下痢で失われるのは水だけではありませんので、湯冷ましや番茶のほか、野菜スープやアクアライトの様なイオン飲料をほしがるだけあげることが大切です。「あげるとすぐでてしまうのであげないようにしていた」という話を時々耳にしますが、これは飲んだものがすぐに出てくるのではありません。胃大腸反射といって、胃にものが入ると腸が動きだしますので、前に摂取したものが腸の動きによって出てくるわけです。
 O157感染の危険は誰にでもあります。他人事と考えず、健康管理に努めて下さい。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

※最近安達群でもO157の感染症が一例発生しました。くれぐれもご注意下さい。

トップへ