貧血の診断基準と分類
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貧血とは
厳密には循環赤血球量の減少した状態と定義されますが、通常は血液の血色素量(ヘモグロビン濃度)が低下した状態と考えて良いでしょう。成人では男性13g/dl、女性12g/dl以下がこれに該当しますが、老人では11g/dl以下を貧血と考えれば良いでしょう。

貧血の分類
貧血は平均赤血球容積(MCV)により次の3つのタイプに分類されます。
 小球性貧血:MCVが80未満のもの
 正球性貧血:MCVが80〜100(正常)のもの
 大球性貧血:MCVが100より大きいもの
※MCVはヘマトクリットを赤血球数で割ったもので、赤血球1個あたりの大きさをあらわす指標です。例えば、赤血球450万、ヘマトクリット30%でしたら、MCVは66.6となり小球性の貧血と言うことになります。

MCVによる貧血の分類
1)小球性貧血(MCV<80)
 1.鉄欠乏性貧血:慢性の出血によることが多い。血性鉄↓、フェリチン↓
 2.サラセミア:グロビン合成能の先天的な低下による
 3.鉄芽球性貧血:ヘム合成の異常で、鉄芽球の増加が特徴的
 4.慢性疾患に伴う貧血:慢性感染症・慢性炎症性疾患・悪性腫瘍に伴う貧血など
2)正球性貧血(80<MCV<100)
 1.急性出血による貧血:消化管出血など
 2.溶血性貧血
  a)赤血球自身に原因: 先天性→遺伝性球状赤血球症(HS)
後天性→発作性夜間血色素尿症(PNH)
  b)赤血球以外に原因: 抗体によるもの→自己免疫性溶血性貧血
抗体以外→機械的障害による溶血性貧血
 3.再生不良性貧血
 4.骨髄癆性貧血:癌の骨髄転移・白血病・骨髄繊維症など
 5.続発性貧血:腎疾患・内分泌疾患・肝疾患・慢性感染症・悪性腫瘍
3)大球性貧血(MCV>100)
 1.巨赤芽球性貧血
  a)ビタミンB12欠乏:悪性貧血・胃摘出後
  b)葉酸欠乏性:吸収障害・菜食主義者・薬剤
  c)赤白血病
 2.その他の大球性貧血:肝疾患・再生不良性貧血・溶血性貧血の一部